わにBLOG 日本におけるオルソケラトロジー第一人者である三井メディカルクリニック院長三井石根によるブログ


2006年11月 » 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30


わにBLOG » 世界のオルソK事情(1)


オルソケラトロジー


世界のオルソK事情(1)

日本の場合(病院選びの注意点)

本日、読売新聞の田村記者とお会いできました。日本と世界のオルソK事情についての話を伺いたいとのことで、三井メディカルクリニックでの診療内容を見ていただきました。
田村記者は大変熱心な記者で、オルソKについてかなり勉強し、情報を集めていらっしゃいます。多方面へも積極的に取材されているようです。しかし、それでもなお米国での本式の治療については理解の浅いところがあったようです。

(1)まず、本来の治療では、テストレンズをそのまま貸し出しレンズとして患者様にお渡しし、医師の管理下でない状況で夜間装用を開始することなどあり得ないこと。

(2)テストレンズの枚数が多ければ多いほど、質の高いレンズデザインが可能であること。

(3)初診では最低でも患者様に2時間以上のテストレンズ装用が必要であること。このテストレンズは医師の管理下であるクリニック内で行い、その間何度もレンズフィッティングを確認した上で、レンズを外して治療の効果(何段階位のレンズ変更でどの程度の視力まで改善するか)を判定すること。

(4)アメリカのレンズデザインを用いた場合には、必ずしも日本人の角膜におけるレンズフィッティングが適切ではないこと。

(5)不適切なレンズフィッティング(その多くがきついフィッティング)では、レンズと角膜の間に涙液が十分に供給されず、涙液交換も不十分となるため、最近やウィルス、アカントアメーバなどが増殖して重篤な感染症を引き起こす可能性があること。

(6)現在日本に入ってきているほとんどのレンズデザインが、きつめのフィッティング傾向を持っていること。

(7)最初に適切なフィッティングであったのが、徐々にきついレンズフィッティングになった場合には、クリニック内でレンズ調整(polishingあるいはblending)を行って対処すること。

(8)この技術がないと、きつくなった度にレンズを新しくしなければならないこと。

(9)レンズデザインが稚拙であっても、3Dくらいまでの軽度な近視であれば視力が改善するが、軽い近視ほどレンズフィッティングがきつくなり易いので、むしろ安全面への配慮が高まること。

(10)逆にレンズデザインが繊細であればあるほど、強度近視に対しても安全性を保ちつつ十分な裸眼改善効果をもたらすことができること。

以上のことをお話したところ、「それでは患者サイドにとって、数あるクリニックの中から本式かそうでないかを見分けるポイントは何?」と、逆に田村記者から質問されました。
それは
(1)テストレンズの装用はクリニック内の医師の管理下で行っていること。

(2)テストレンズを当日そのまま貸し出して夜間装用したりしないこと。

(3)テストレンズは2時間程度装用し、外してから当日中にしっかりとした評価(何段階のレンズ変更でどの程度まで視力が改善するか)が受けられること。

(4)テストレンズが何枚くらい用意されているかを尋ねること。(通常200枚程度は必要。ちなみに三井メディカルクリニックでは8000枚を用意しています)

(5)今までに何人程度の診療経験があるのかを尋ねること。(当院では4800人以上です)

(6)ある程度強い近視であっても対応できるか否かを尋ねること。(当院では10D以上の近視度、視力では0.01程度であっても0.7程度までは改善可能。ステップアップの技術がないと3D程度の軽度近視までしか対応できません))

(7)テストレンズによる情報に基づいてフルカスタム(オーダーメイド)による患者専用レンズをデザインしていること。(最近ではテストレンズさえ入れずにコンピューターで計算するだけでフルカスタムと呼ぶ診療もあるようです)

(8)フルカスタムレンズの到着には2~3週間を要すること。(フルカスタムレンズの場合、その多くが米国で作られているからです)

(9)一定期間レンズを貸し出して、その結果によって場当たり的に(貸し出しレンズでたまたま視力が出たら開始、そうでなかったら行わないような)治療効果の判定を行わないこと。(このような診療はオルソKではありません。本来は、レンズデザインに工夫を凝らしてどんな角膜に対応し、きっちりと結果を出すのが本式のオルソK治療です)

(10)レンズフィッティングがきつくなってきたら、クリニック内で即座に対応可能なレンズ調整(polishingやblending)の技術を持っていること。(そうでないと、きつくなったらその度に新しいレンズに変えることになり、安全性を損なうばかりか、経済的にも時間的にも不利益です)

(11)仮にレンズがズレやすくなったり、角膜中央部に位置しなくなってきた場合には、適切にレンズデザインを変更して問題を解決できること。

(12)そのために(レンズデザインのどこに手を加えるかを決めるためには)、現在使用している患者さん専用レンズのパラメターを医師が全て知っていること。(当院では、およそ13箇所におよぶパラメターを全て医師が決定するので、当然その数値の全てを理解していますが、レンズメーカー任せの治療ではパラメターの細部が明らかにされませんから、デザインの変えようがありません)

(13)そして、患者さんの個々の生活パターンに応じて、適切なレンズ装用のプログラムを提案できること。

少なくとも以上の点は、患者様サイドからもある程度チェックできるのではないでしょうか?そして何よりも、この治療について詳しい説明を求めても明確な返答ができない場合、オルソKに精通しているとはとても呼べないでしょう。この治療を受ける患者さん自身も、良いレンズデザインに巡り合うためには、それ相応の情報収集が必要であると思います。



TRACKBACK


カテゴリー
最新エントリー
アーカイブ
リンク
RSS

PAGE UP